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【中国新聞朝刊掲載記事】2006年(平成18年)2月25日(土曜日) 

動的耐震診断に注目
相次ぐリフォーム詐欺・強度偽装
  

 
 

補強の必要性など調査

住んでいる木造住宅や地盤の耐震性を揺れを起こす機械でデータ測定する起振機で確かめる「動的耐震診断」が、消費者や工務店から注目されている。耐震リフォーム詐欺、耐震強度偽装など「安全神話」を揺るがす事件の続発で住まいへの関心が高まり、診断依頼が増えだした。
 
 
 
(本文)
 広島市西区の無職井川春治さん(78)は昨年十一月、築後二十五年、木造二階建てのわが家を初めて耐震診断した。「芸予地震の時、立ち上がることさえできんかった。下敷きになったらいけんから調べたんよ」
 調査会社が持ち込んだのは、小さな段ボール箱一個に収まるほどの起振機。影響を受けやすい二階の中心に据え、水平方向に震度1ほどの振動を起こした。地震計で東西南北の揺れの測定値と設計図を基に、地震に弱い個所を割り出した。
 家屋と地盤との揺れの周波数(固有周期)が近いと共振現象が起き、被害は大きくなる。起振機を庭に置き、垂直方向の揺れ具合も調査した。
 一週間後、診断書が届いた。結果は「震度7(阪神大震災クラス)でも損壊の危険なし」。壁が無く、ふすまで仕切っているだけの和室の続き間も「補強しなくても大丈夫」とお墨付きが出た。「高齢で、リフォーム業者の勧誘も断れます」と井川さんは、ほっとした表情を見せる。
 

15万円が上限

 
動的耐震診断システムは、東京の住宅向け地盤調査機器メーカーが二〇〇三年に国内で初めて開発。地震のメカニズムや耐震技術の情報などを発信する特定非営利活動法人(NPO法人)「住宅地盤診断センター」(東京)が注目し、システムの見学会や講習会を開いてきた。一回の診断費用を上限が十五万円と決めている。
 中国地方に三社ある同センター会員のうち、広島市安芸区のリフォーム会社「陽だまり工房」と安佐南区の地盤調査会社「アテスト」は連携し、昨年八月から診断を始めた。ちょうど、高齢者の耐震リフォーム詐欺被害が問題になり、リフォーム業者に対する不信感が強まっていた時期。両社共同で既に同市内の十数軒を調査した。アテストは中四国の約四十軒から調査依頼を受けている。
 耐震診断は従来、建築後の年数や壁の位置などからコンピューターで推算したり、柱や梁の太さ、シロアリ被害などを目視で調べて推定したりするのが主流だった。どれくらいの震度まで損壊しないで済むか、個別の部分ごとに補強が必要かどうか、などは分からなかった。
 
 

業者任せ危険

 
 同工房の尾崎諭利社長(41)は「動的耐震診断なら、リフォーム後の効果も実際にデータで示せるから、消費者に安心してもらえる」とシステム導入の利点を話す。やはりセンターに加盟する島根県隠岐の島町の山本工務店も、三年間で十数軒を調べた。
 同センター設立代表の小島修さん(57)によると、診断した中には耐震効果がほとんどないリフォームでごまかされていた住宅もあったという。「業者任せにしていては危うい」と診断を勧めている。

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